sdmt77's diary

https://twitter.com/_sdmt

エンジニアが注文住宅を建てることになった話(①導入編)

導入

私は賃貸派(もしくは購入するとしても都心タワマン派)なのですが、この度家を建てることになったので、ブログでも書いてみるかということで本文書をしたためております。 独身で家を建てる人の情報が少ないように見えるので、そのような同志の役に立てばと思います。

筆者のプロフィール

  • 職業:ITエンジニア?
  • 職種歴:金融SE→新規ビジネス企画→プロダクトオーナー→ソリューション営業→R&D→クラウドアーキテクト→戦略
  • 年収:800万くらい
  • 年齢:30歳
  • 家族構成:独身

なぜ家を建てようと思ったのか

私はそもそも賃貸派

私はそもそも賃貸もしくは都心タワマン購入派です。日本では建物自体に(ローン残債を上回るほどの)リセールバリューが出ることは少ないです。
都心のタワマンであれば、建物というより立地や「都心タワマン」という属性にリセールバリューが出るので、購入する場合は都心タワマンを買おうと考えていました。

しかし、上記の考えは経済合理性を優先した場合の話であり、賃貸や都心タワマンが最も快適であるということではありません。
今までは帰ってただ寝るだけだった家が、リモートワークによる半引きこもり生活により、最も長くいる場所になり、私も快適性を求めるようになりました。

毎日長時間使うものにお金をかけることでQoLが上がるという「コンフォート原則」という考え方があります。
使う時間が長ければ単位時間あたりのコストが最小化され、とてもコストパフォーマンスが良くなります。

これにより、家の購入を検討するに至りました。

リモートワークで増えた、家にいる時間

ほぼリモートワークの勤務形態となり、家にいる時間が劇的に伸びました。
家にいる時間が伸びたことで以下のような問題が発生しました。

  • リモートワークで発生した生活における問題
    • 運動不足による健康状態の悪化
    • 仕事と生活のスペースを同一とすることによる仕事依存

特に仕事依存による影響がかなり大きかったです。仕事以外やる気が出ず、独身故に仕事だけしていれば特に問題なく、休みの日は殆ど寝て過ごし運動不足に拍車をかけていました。
上記問題を解決するだけであれば、3LDKなどの大きな部屋を借りて仕事部屋やトレーニングルームを作るなどで対応できますが、都内だと家賃は最低20万くらい、新幹線通勤を視野に入れても10万以上は家賃(地方であれば+駐車場代など)がかかります。
また、快適性という観点においては、サッシや設備のグレードが低く、問題解決以外に付加価値がなく、賃貸のコストパフォーマンスは悪く感じました。

上記理由により、家を「買う」ではなく、「建てる」を選びました。

俺は本当に家を買えるのか?

とりあえず人に相談してみよう
今の半引きこもりのような生活であれば特にお金に困ることはないものの、数千万の買い物ができるほどにお金に余裕があるのかというと、何も確証がなかったのでFPさんにライフプランシミュレーションをしてもらいました。
普段からMoneyForwordを使っていることもあり、「マネーフォワード お金の相談」と会社の福利厚生で相談できるFPさんに相談しました。複数人に相談することでライフプランの精度を上げる意図です。

結果として7000万円くらいまでなら生活レベルを維持しつつ、リスクにも備えられそうなさそうなことが分かり、実際に買おうと決断しました。
(上記の通り、家の購入に経済合理性を期待していないため、最悪建てた家が地球上から急に消失しても問題ないくらいのリスクを許容をした上で、資産としてではなく消費として購入する想定です。)

検討をすすめる中で条件が変わるので適宜見直そう
また、元々金融系SE時代に少しFPの勉強をしていたこともあり、「Financial Teacher System」を使って実際の費用に合わせたシミュレーションなどを自分でも行い、適宜見直しています。
(実際にFPさんにも「それだけの知識があれば私に相談する必要なかったのでは?」と言われました。) ちなみにシミュレーションでの代表的な条件は以下の通り設定しています。

  • 結婚はしない
  • 管理職の最低ランクまでは昇格する想定
  • 物価上昇率は1%/年
  • 運用利回りは5%/年(直近1年の利回り実績は15%程度)
  • 生活費(ローン支払いは除く)は20万/月(これだけあれば最悪別に部屋を借りることになっても最低限生きていける)
  • 定期的に家の修繕費用や車の購入を計上

どうやって家を建てるか

これもとりあえず人に相談してみよう
検討当初はマンションや建売の購入も視野に入れてましたが、目的が「生活のQoLを上げる」であり、現時点で既にある程度のニーズを満たしている状況なので、理想像を追い求める(防音室を作るなど)ことにした結果、前述の通り注文住宅という選択に至りました。
そこで、具体的にハウスメーカーなどを探すため、「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」と「HOME4U 家づくりのとびら」で相談しました。(こちらもニーズ合致の精度を上げるために複数業者に相談しています。)

相談した結果、以下のような候補を出してもらい、それぞれの展示場などに赴きました。

プロダクト開発は結局人材
ハウスメーカーなどと会話した結果、最終的には設計事務所さんにお願いすることにしました。
選定理由としては、以下の通りです。

  • 制約が一番少なかった(折角注文住宅にするのであれば細部までこだわりたかった)
  • モデルハウスや見学会で見た家などの中で設計事務所さんの家が一番品質が高いように感じた
  • 営業担当者が全ての質問に答えてくれた

なにより、設計事務所の社長さんが「ウチは最強のチームを揃えてますよ」というニュアンスのことを仰っていたのが一番印象に残っており、弊社で最強と自負する担当に所属していた私にとってすごく共感できたのが大きいです。
(QCDにおいて、今回はQが最重要視する項目であり、Qはチームメンバのスキルに大きく依存すると考えています。CDは今回PdMやPOとなる自分でコントロール可能です。)

どこに家を建てるのか

リモートワークで地理的制約から解放された
現在は山手線駅徒歩10分以内に住んでいます。流石に山手線徒歩圏内に土地を買えるほどのお金はないため、どこの土地を買うのかを考えなければなりません。
まずは以下の通り制約事項や希望内容を挙げました。

  • 制約事項

    • 会社まで1.5h以内で通勤できること(出社がゼロになったわけではないため)
    • 通勤手段は徒歩+電車(新幹線可)
  • 希望内容

    • 災害(地震など)が少ないこと
    • 積雪地帯ではないこと
    • 徒歩圏内に商業施設(コンビニ)や飲食店(美味しいラーメン屋)があること(今後もそのような施設・店舗が継続的に存在する可能性があること)
    • 駅まで自転車で10分以内
    • 駐車場とバイク置き場を作れること
    • 友人と分筆できること(きっかけとなった友人と分筆して隣同士で家を建てることにしました)

現在都心に住んでいて、確かに便利ではあるのですが、半引きこもり生活ではコンビニとたまに飲食店に行くくらいしかなく、リモートワークがメインになったことにより新幹線通勤も視野に入れました。
新幹線であれば立川などに住んでいるのとあまり変わらないくらいの時間で東京に行けます。

結果として、新幹線駅の徒歩15分圏内で土地を契約することができました。

どんな家を建てるか

自身の要求を具体化するためのイメージを持とう
私は家づくりについては素人であり、実現可能性のある要求を具体的に挙げることができる状態ではなかったため、以下のYoutubeで少し勉強しました。

要求をアウトプットしよう
システム要件定義と家づくりの要件定義は似ているとIPAも言っており、プロダクトオーナーの腕の見せ所です。
(参考:家づくりで理解する要求明確化の勘どころ ~システム構築を成功させる要件定義のポイント~)

インセプションデッキ」、「ダイヤモンドマンダラマトリクス」、「カスタマージャーニーマップ」、「リーンキャンバス」、「狩野モデル」、「非機能要求グレード」などの要求・要件整理のツールやフレームワークがありますが、歴戦のワーカーホリックなエンジニアにとっては息をするように要求仕様書を書けると思うので、好きに書くといいと思います。
参考に私が書いた要求仕様書の目次を書いておきます。

要求仕様書目次

  • はじめに
    • 本書の目的
    • 想定読者
    • スコープ
    • 注意事項
  • 要求仕様
    • 背景(動機)
    • 目的・期待する効果
    • 施主に関する情報(ユーザ特性・ペルソナ定義)
    • 利用期間
    • 現状の課題
    • ライフスタイルに関する基本要求
    • 予算要求
    • 住居利用用途
    • 土地要求
    • 建物要求(機能要件)
    • 性能要求(非機能要件)
    • サポート・業務支援要求
  • トレードオフスライダー
  • 荷物現況
    • 現在持っているものや現在の部屋を写真付きで情報共有

この要求仕様書を元に今設計を進めている状況です。進展があれば新しく記事を書いていこうかと思います。
読者の皆さんがいい家を建てる一助になれば幸いです。